1.Wakeup

 朝起きたら、女の子になっていた。


 なんて、漫画の世界だけだと思っていた。
 そもそもこの世界では何でもあり得ることをすっかり忘れて、クロノアはガンツの部屋に泣きながら飛び込んだ。
「ガンツ!ねぇ、ちょっと!起きてよ!大変なんだよ!」
「…うー…ん。…あぁ?なんだ…?」
 起きたはいいものの、ガンツは寝ぼけ眼で答えた。
「大変なんだよ、ボク、女の子になっちゃったんだよ!」
 涙目で叫ぶクロノアにガンツは寝ぼけたまま、ああそうかと頷く。
「そんなんよくあること……──て、女ァ!?」
 ようやく目が覚めたらしい。飛び起きてクロノアをまじまじと見る。が、変わった所は見られない。
「なんだ普通じゃねぇか」
「違うんだってば、その、えーと、あるべきものがないっていうか」
「……」
 ガンツは眉を潜めた後、クロノアを抱き上げて下腹部に手を添えた。
「…………」
 数秒間、沈黙が訪れる。
「…だから、言ったでしょ」
「……どういうことだ、こりゃ?」
 わかれば苦労はしない。
「知らないよ、朝起きてたらこうなってたんだもん……どうしよう」
 絶望したような表情で、クロノアはぐすんと俯く。
「ガンツ、女の子苦手なんだよね?ボクもう一緒にいられないや…」
「クロノア…」
 ガンツは涙目で自分を見上げるクロノアに、一瞬後頭部を強打したような頭痛を覚えた。自分の女嫌いのことを気にかけたクロノアが、とてもいじらしく思える。
 気がつけば、ガンツはクロノアをベッドに組み敷いていた。
「──が、ガンツ?!」
「…女なんだろ?じゃあ、オレがこういうことしても不自然じゃないよな?」
 そうつぶやき、ガンツはクロノアの寝間着をたくしあげる。クロノアが驚いた表情でガンツを見上げる。構わずに以前より少し膨らみのある胸に舌を絡ませると、クロノアはびくりと身体をこわばらせた。
「ひっ…!ガンツ…!?な…に──はぁっ!?」
 蕾のような突起に軽く歯を立てる。
 身体の変化にまだ慣れないのか、それともいきなりの行為について行けないのか、クロノアは涙を浮かべてガンツを見上げた。
 口の端を釣り上げて、ガンツは笑う。
「オレがお前のことをいつもどう見てたか、教えてやるぜ。…ずっとこうして滅茶苦茶にしてやりたかったんだよ。オレしか見えなくなるくれェにな」
「…!」
 その台詞に目を丸くするクロノアの隙をついて、唇を奪う。舌を絡み取るように吸い上げて、深くくちづけた。
「んん…っ」
 同時に寝間着のズボンを下着ごと下ろし、もう湿り気を帯びる秘部に指を触れる。そのまま狭い内部に指を少しだけ押し込むと、異物の感触にクロノアが泣いた。
「い…痛いっ、ガンツ、止めて!」
 叫ぶクロノアにはかまわずに、親指で秘部の上にある小さな突起を突いてやる。それだけで、クロノアの身体が大きく跳ねた。
「……っ!?い、いやだっ──!怖いよ、ガンツ…!」
「そいつは気持ちいいってンだよ」
「あ、ひぁあ…っ!?」
 にやっと笑いながら、ガンツはなおも淫核へ指を押し付ける。擦り上げられる度に、クロノアは頭がおかしくなりそうな刺激に身体を跳ねた。刺激が送り込まれるたびに、身体が熱を帯びていく。
 その感覚に恐怖して泣きじゃくるクロノアの頬に手を当て、ガンツは呟く。
「…オレのことが嫌いか?」
 視線をかわして、顔を近づけて囁く。クロノアはふるふると首を横に振った。
「そうか。オレもオメェのこと嫌いじゃないぜ」
 ガンツにしては珍しい笑顔を浮かべる。クロノアが困惑したように、か細い声で尋ねた。
「じ…じゃあ…、なんでこんな…こと…」
「決まってんだろ、お前が好きだから手に入れたい。そんだけだ」
 好き。その言葉にクロノアは滅法弱い。それは普段いつも会話している時におのずと覚えていた。それを利用するのは申し訳ないが、好きと言った気持ちにも偽りはない。
「最初は痛てェが、死ぬほど気持ちよくなるぜ。お前も、オレもな」
「……うん…」
 大人しく頷くクロノアの背中に手を回す。軽く腰を持ち上げてやると、まだ狭いままのそこに自身を押しつけた。
「チッ、やっぱり狭ェな。我慢しろよ?」
 ぐいとそこに腰を沈める。ひいと声をあげて、クロノアが痛みを訴えた。かまわずに奥まで押しつけると、痛みと異物の感触にクロノアの身体が震える。明らかに処女のものと思える入り口からは、少量の出血が確認できる。もう、ここから後戻りは出来なかった。
「動かすぜ?少しだけ我慢してろ」
「あ、や、待っ…ぁあ!?」
 少しずつ奥に先端を当てる早さを早める。息が詰まるような声で、クロノアは泣きじゃくり、いやいやとかぶりを振った。が、次第にその声も泣き声ではなくなり、律動のたびに甘く溶けていくのがわかると、ガンツはさらに強くそこへ腰を押し付けた。
「う、ぁ…ガンツっ、ダメ、ヘンになっちゃ…ぁあ!」
「いいンだよ、おかしくなっちまえ」
「やっ…ぁあ…ぁ!」
 かまわずに奥まで激しく突き上げる。痛みと快感に背中を粟立たせ、クロノアはガンツにしがみついた。
「ガンツ、ダメ、も…うっ」
 がくがくと震えて、クロノアはガンツの首に腕を回し懇願する。軽くキスをして、ガンツは自身をクロノアの最奥まで突き上げた。
 女の身体ということは、もしかすれば妊娠するかもしれない。少し戸惑った後、ガンツは理性よりも欲望の方を選んだ。
「っあ、ガンツっ…あぁ!」
 身体の奥に何か熱いものが流れ込んでくる感触を確かめながら、クロノアは意識を手放した。



 静かに腕の中で寝息を立てるクロノアを抱えながら、ガンツはため息をついた。
「朝から何やってんだ、オレ」
 児童虐待でもしたような気分だ。実際、レイプとほぼ変わらないことをしたのだが──
 シーツには所々薄くなった赤い染みが点々と、残っている。明らかに、処女を奪った事に間違いはない。
 腕の中で、クロノアが身じろぎした。
 いつもより女性らしさを覚える表情。
 そもそもなんで、クロノアの性別が変わったのか?
 よくわからないままに、ガンツはクロノアを抱えてバスルームに向かった。


「…ふにゃ?」
「起きたか?少しじっとしてろよ」
 湯気の感触で起きたクロノアに、ガンツは極力穏やかな口調でささやいた。洗ってやっていたクロノアの背中に湯をかける。まだ泡だらけの自分の胸に顔を埋めてきて、さすがに焦る。
「鼻に泡はいるぞ」
 クロノアの頭をつかんで自分から剥がすと、ガンツはその頬に手を添えて軽くキスをした。石鹸の泡の苦みが少しだけ口に広がるが気にはならない。
「ん…」
 舌同士が糸を引いて離れる。すぐに息を切らすクロノアが可愛らしい。
「女の子、嫌いじゃなかったの?」
「オメェを今更女だとか思えるかよ」
 それもそうだ。そもそも女の子というものがどうあるべきかの自覚すらない。
「オメェが女じゃなくてもたぶんいつかは同じ事してたぜ」
 ただ、タイミングが良すぎただけだ。
「このままもとに戻らなくても、ボクのこと好き?」
「元に戻ろうが戻らなかろうが、お前はお前だろ」
「……うん」
 ばしゃりと湯をかぶる。しゃべっているうちに幾分かぬるくなった湯が心地よかった。
「でも何で、こうなっちゃったのかなぁ?」
 困ったように呟くクロノアに、答えを示してやることは出来なかった。そんなことがわかれば苦労はしないのだ。
「さぁな。とにかく、まだ昼前だ。天空寺院かムゥンズの学者あたりに何か調べてもらうしかねェだろうな」
「あそっか、ガンツ頭いいね!」
「怪奇現象やら超状現象はあいつらに任せときゃいいのさ。だがムゥンズの方は後回しだな」
「え?どうして?」
「学者は研究って奴が好きだ。なにもないまま行けばモルモットにされるのがオチだ。天空寺院が関わってれば手は出せねェがな」
「そうなんだ…ふぃ〜」
 関心するクロノアに頭から湯をかぶせて、ガンツはため息をついた。




 天空寺院、内殿。
 寝台に寝かされたクロノアの額に手をかざしていた巫女が、深刻そうに顔を上げた。
「月の魔法かはたまた呪いか…どちらかがかけられています。」
「どちらか?また曖昧だな」
「それが、何らかの力が術に探りを入れるのを阻んでいて、よくわからないのです。」
 何らかの力。その言葉を聞いたクロノアが不意にガンツを見た。
「あの、それからなんですが」
「何だ?」
「ひょっとして、性行為をしましたか?」
 ぶっ!
 思い切り吹き出しかけて、ガンツは咳き込む。クロノアも顔を真っ赤にしてあさってのほうを見る。
 巫女はといえば、全て知っていたかのように冷静な表情だった。
「ああ、やはり。いえ、それは普通のことです。クロノアさんから、幻惑系の魔法の痕跡を見つけましたから。恐らく、そうなることを予期してかけられた術なのでしょうね」
「…俺たちがどうするかもお見通しだったってことか」
「ええ。しかしこの術の効果はまだ少し残っているようです。普通ならば一度効いてしまえば終わるはずなのですが」
「術が強力なんじゃねぇか?」
「いえ、違うと思いますわ」
 巫女の否定に、クロノアがまた不安そうにガンツを見た。
「ムゥンズに行くといいましたが、およしになった方がいいでしょう。男性の巣窟ですもの、もし一人になったら危険です」
「チッ。しばらくこいつから目がはなせねぇな」
「あなたもおそらく術の誘惑に耐えているのでは?」
「…オレはもう何も感じないぜ?そもそも、術のせいであんな事をした気もしねェしな」
 実際、ガンツはクロノアに妙な魅力など感じるどころか、元から悶々とした気持ちを持っていた。術にかかったのも少なからずはあるだろうが、本心から行為に及んだという確証も持っていた。
「そうですか。まああなたの趣味を問ういわれはないわけですが、最初の相手があなたでむしろよかったようですね。彼…いえ、彼女はあなたに心を開いているようですから」
「そもそもオレ以外側にいないからな」
 当たり前のようにガンツは答える。
「それもあると思いますが、ほかの人間がもし彼女を襲ったら、きっと精神的ショックが大きかったと思います。」
 それもそうだと、ガンツは納得した。
「術が完全に解けるまで、あなたが側にいて守って差し上げるしかありません」
「そんなん元から承知の上だがよ、周りの女以外はみんな敵ってのはさすがにきついな」
「そういう訳ではないと思います。元から彼女に全く気のない方や、精神力の強い方なら誘惑には負けませんわ。
ただし『興味を持つ』だけで術にかかりやすくなるでしょうから何とも言い難いのですが」
 どちらにしろ、きついに変わりない。
「一番手っとり早いのはあなたが完全に術にかかることなんですが…」
 巫女は暗に、性行為を助長するような発言をする。その表情はガンツを試しているようにも見えた。
「それで術の効果が切れれば文句はないが、確証はねェんだろ?コイツに無理させるのはまっぴらだ」
「そう言うと思いましたよ。しかしこれから先、彼女をねらう人間は増えるでしょう…守りきることは、できますか?」
 巫女の眼差しに、思わず目をそらしたくなる衝動を抑え、ガンツは頷いた。
「巫女様…ボクだって守られるほど弱くないよ」
 クロノアが起き上がってフォローする。にこりと微笑むその表情は、女性以外の何でもないように思えた。










これじゃあガンツショタコンじゃなくてロリコンだね★(酷
女体化エロを描きたかったわけですが、結局いつものエロと変わらなかったワケです姉さん(?)。
そしてガンツは次回から禁欲を強いられるわけです(死)。
堪え性のない彼にどこまで出来るんだろうか…。